
次世代プレシジョンメディシン開発講座の国田朱子特任講師らによる研究成果が、Pathology International 誌に掲載されました。
がんゲノムプロファイリング(CGP)に不可欠なFFPE(ホルマリン固定パラフィン包埋)組織について、ホルマリン濃度・固定時間・固定時の組織の大きさ・固定までの時間(冷虚血時間)がDNA・RNA品質に与える影響をブタ臓器モデルで系統的に検証しました。さらに、当院病理部のFFPEアーカイブブロックを用いて、薄切後のプレパラートの保管温度・保管期間、およびFFPE検体(ブロック)の経年の影響を評価しました。
ブタ組織を用いた検討では、直径1 cm以下の小型検体において20% NBF(中性緩衝ホルマリン)より10% NBFがDNA品質の保持に優れること、固定時間の延長はDNA・RNA双方の品質を低下させることを示しました。
一方50 mm厚の大型検体では、小型検体と異なり10%・20% NBF間でDNA品質に明確な差は認められませんでしたが、固定条件によって表層と深部で核酸品質に不均一性が生じることが明らかとなりました。
大型検体においては、ホルマリン濃度よりも固定時間の厳守と固定前の適切な割入れが重要であることが示されました。
また、病理診断に用いたFFPE検体の検討では、薄切後1ヶ月を超えるプレパラート保管の際は4°C以下での保存が有効であること、FFPE検体(ブロック)作成後1年未満で最良の核酸品質が得られることが示されました。
これらの知見をもとに、精度の高い分子診断・CGP検査の実施に向けた実践的な推奨事項の確立を目指しています。
■論文情報
雑誌名:Pathology International (2026): e70118
題 名:Preanalytil Determinants of DNA and RNA Quality in FFPE Tissues: Practical Recommendations for Molecular Testing
著者名:Akiko Kunita, Aya Shinozaki-Ushiku, Sachiyo Nagumo, Tetsuo Ushiku
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